腋臭症(ワキガ)治療(反転剪除法)

腋臭症(ワキガ)と原因

腋臭症(ワキガ)は”不快な臭いがワキの下から発生する状態”を指すことが一般的です。医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」、「アポクリン汗腺症」と表記されます。

ワキガの臭いは硫黄やスパイスに例えられるような、鼻にツンと来る独特な刺激臭です。また、玉ねぎや鉛筆の芯のような臭いと言われることもあります。

基本的には放置しても体調や身体に害はありません。しかし人と会うのが辛くなったり、コンプレックスに感じてしまったりと精神的には大きな負担となってしまいます。

また、においに関しては血液検査のように一般的な数値での指標がございません。

ですので、においを気にするあまり、1日に何回も洋服を着替えたり、人前にでにくくなったりとご自身の生活に支障が出ている場合、保険適用の治療となります。

腋臭症(ワキガ)の原因

人間の身体には汗を分泌するための「汗腺」という組織があり、さらに汗腺はエクリン汗腺アポクリン汗腺の2種類に分けられます。

「アポクリン汗腺」から分泌された汗にはタンパク質や脂質が含まれており、それが皮膚や皮脂の常在菌に分解されることでワキガの原因となるのです。

つまり、アポクリン汗腺の数が多い人はワキガになりやすいと言えるでしょう。汗腺の数は生まれたときから決まっており途中で変化しないため、腋臭症(ワキガ)になるかどうかは「遺伝」が大きな要因となります。アポクリン腺は二次性徴が起きてくる際に成長していきます。早い方ですと小学生高学年あたりからにおいが気になりはじめます。

また「ストレスや疲労」「食生活の乱れ」「肥満・運動不足」などの生活習慣の乱れによってアポクリン汗腺が活性化された結果、臭いが強くなるケースも考えられます。

セルフチェック

・耳垢がしっとりしている
・両親もしくはどちらかが腋臭症
・脇毛の量が多い
・汗の分泌量が多い
・黄ばんだ汗ジミが出来る
・脇毛に白い粉がつく

特徴

腋臭症を改善する治療には、様々な方法があります。
なかには症状によって保険適用される手術から注射の治療法もあります。
症状の程度やライフスタイルに合わせた治療法をご提案します。
※女性医師もおりますので、ご希望の方はお伝えください。
1.反転剪除去 (保険診療)
2.ミラドライ (自費診療)
3.ボトックス注射 (保険診療)
4.外用薬 (保険診療)
5.保存的治療 (自費診療)

向いているかた

・ワキ汗やにおいが気になったことがある方
・人からにおいがすると言われたことがある方
・定期的にワキボトックスをしている方
・洋服のワキ部分が濡れる、汗じみになる方
・におい対策のデオドラント製品が効かない方
・ご家族に腋臭症(ワキガ)の方がいる方

施術内容の詳細

1.反転剪除法 (保険診療)

当院では、腋臭症(ワキガ)の治療を反転剪除法という術式を用いて治療を行います。

この術式は、有毛部を約3~4cm切開して、皮膚を裏返して汗腺を切除する方法で、広く一般的に行われている手術です。

腋臭症手術
一度剥離した皮膚をもう一度同じ場所へ定着させるという方法なので、うまく定着されない場合は、皮膚がかすれたり、血腫ができて最悪の場合は皮膚の壊死が起きることもあります。

そのため、術後は皮膚がしっかり定着されるよう圧迫を行う必要があり、激しい運動などは避け、しばらく安静にすることも必要です。

圧迫の際にテープを使うことがありますが、テープかぶれを起こしやすく、かぶれが傷跡・手術跡より目立つことも多々あります。そのため、圧迫用のベスト(ボディスーツ)を着用して圧迫するという方法もあります。

いずれの手術も、4〜5日の厳しい安静、その後10日前後わきを上げれないといった安静が必要になります。一度の手術で取れる範囲を可及的広くするために安静をしっかりとっていただいております。

利点

  • 無傷ではありませんが、しわに沿って切開するため、時間経過とともに比較的目立ちにくい傷跡になります。
    アポクリン腺を確実に除去出来るため、機械等の治療に比べ再発のリスクが低い治療です。
    但し、14歳以下で手術を受けられた場合は二次性徴に伴いアポクリン腺が新生されるとにおいが気になることがあります。

欠点

  • 日常生活の制限が1~2週間程度あるため、術後は安静が必要となります。
    切除範囲が広い場合、端までアポクリン腺を取り切れず再発するリスクがあります。取り残しを防ぐため、手術を2回に分けて行うことがあります。また、感染や血腫を伴うと傷跡が治りにくかったり、傷跡が目立つことがあります

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2.ミラドライ (自費診療)  当院では行っておりません。

ミラドライは皮膚を切らずに腋臭症・ワキの多汗症の治療を行う器械です。
マイクロ(電磁)波エネルギーを利用して、汗腺(水分子)をターゲットとし、ワキの多汗症の原因であるエクリン腺を破壊します。
ダメージを負った汗腺は再生しないと言われています。
ワキの多汗症(原発性腋窩多汗症)に対して、ミラドライは厚生労働省の認可を受けていますが、腋臭症の治療に対しては認可を受けていません。
このため、自費診療での治療となるため高額であり、うまく照射出来ないと再発や火傷のリスクなどもあるため当院では実施しておりません。

利点

  • 切らずに治療が出来るため、日常生活の制限やダウンタイムが短いことが特徴の治療法です。

欠点

  • 火傷、瘢痕形成,末梢神経障害,汗腺膿瘍などのリスクがあります。

 

ペースメーカ又は他の電子機器が体内に埋め込まれている、 腋窩付近に金属製のインプラント等が埋め込まれている、又は刺青のある、 治療部位に悪性腫瘍、又は皮膚悪性腫瘍があるかたはミラドライの治療は行えません。

3.ボトックス (保険診療)

薬剤を適応部位に注射することで、汗腺の働きを抑え、発汗量を減らすことが出来ます。
人の体には汗を分泌させることで体温調節を行っています。
汗はエクリン腺という汗腺から分泌されます。
汗腺が多いワキに汗止め注射をすることで、交感神経からエクリン腺への刺激の伝達をブロックし、発汗を抑えます。
原発性腋窩多汗症の場合、保険適用となります。

利点

  • 注射による治療のため、手術に比べ日常生活の制限がなく手軽に治療を受ける事が出来ます。汗が減る感覚も実感しやすい治療です。

欠点

  • 根本的な治療ではありませんので、継続した治療が必要となります。注射を腋毛の生えている範囲に対し、数十か所打ちますので痛み
    があります。

4.外用薬 (保険診療)

エクロック®ゲルは、有効成分が皮膚から浸透して、エクリン汗腺の交感神経から発汗の指令を受け取る部分をブロックすることで、発汗を抑えることが期待できる塗り薬です。
また、日本ではじめて健康保険の適用が認められた原発性多汗症用の塗り薬です。

利点

  • 痛みや傷を伴わずに、自宅で出来る治療です。

欠点

  • 根本的な治療ではありませんので、継続した治療が必要となります。緑内障や前立腺肥大症の方、わきに傷や湿疹・皮膚炎などがある方、妊娠中や授乳中の方は、使用出来ない場合や使用時は注意が必要なことがあります。あらかじめ医師へお伝えください

5.保存的治療

外科的な治療に抵抗のある方は、まず不規則な日常生活や喫煙習慣を見直すことから始めましょう。
脇毛の処理や市販の制汗剤も一定の効果が期待出来ます。
自己処理が面倒、肌が荒れてしまう方は医療脱毛も効果的です。

ダウンタイム・副作用

手術時間 約1.5時間
抜糸 術後3,4日目,術後1週間~2週間
術後の通院 術後3,4日目,7日目,14日目
入浴
シャワー
1週間,状態によっては2週間
翌日(患部を濡らさないように注意)
腫れ 1週間~2週間程度
内出血 2~3週間程度
(細い血管が傷ついた場合)
術後の固定 術後3~4日まで圧迫固定

治療の流れ

1.カウンセリング

患者さまのライフスタイルや、お悩みの程度に沿って適切な治療法をご提案します。
不安やご不明点が解消されるまで丁寧にご説明いたします。
わからない事、疑問点などございましたらどんな些細な事でも気軽にお聞きください。

2.手術前の検査

反転剪除法の治療の場合、感染症等の有無を血液検査によって確認します。
手術日の1週間前までに血液検査を済ませてください。
※ボトックスの治療の場合、薬剤は取り寄せとなります。施術は、ご相談日から1週間後のご案内が最短となります。

3.局所麻酔

除去範囲に局所麻酔の注射を行ってから手術を行います。

4.施術

麻酔が効いていることを確認し、左右片側ずつ除去していきます。
止血を確認し、創部はガーゼと糸を用いて圧迫固定をします。
この圧迫の上から更に、包帯とテープで固定を行います。
手術する範囲によりますが60~90分程度で終了します。

5.アフターケア

3~4日後に包帯とテープの固定と、創部のガーゼ圧迫を外します。
固定が外れるまでは、ワキを上げたり、腕を大きく動かす動作が出来ません。安静にお過ごしください。
切った傷口部分の抜糸は7日目となります。抜糸までは、軟膏とガーゼで創部の保護をします。
傷跡の経過を確認するため、手術から1か月後に来院してください。
傷の治りによっては、飲み薬や貼り薬、注射等の治療を行います。
また、術後の生活の心配などもしっかりとサポートやアドバイスいたしますので、まずはお気軽にお尋ねください。

当院の特徴

治療後の傷跡にも配慮し仕上がりの美しさにこだわって、形成外科医が全て治療を担当いたします。

料金

1.反転剪除法
(保険診療)
片側約¥20,610
2.ミラドライ
(自費診療)
¥200,000~400,000
3.ボトックス注射 (保険診療) 両側約¥25,000
4.外用薬
(保険診療)
1本 約¥1,460
5.保存的治療 毛 1回 6,1607,370

よくある質問

Q,切らない腋臭症の治療で保険適応のものはありますか?
A,切らない腋臭症の治療では、基本的に保険適応になる治療はありません。
但し、ボトックス注射の治療は、原発性腋窩多汗症によって日常生活に支障が出ていると判断された場合、保険適応となります。

 

Q,腋臭症は再発や後遺症などはありますか?
A,特に、10代などで治療を受けた場合、二次性徴とともに再発のリスクがあります。
また、男性や体の大きな方など、アポクリン腺を切除する範囲が広い場合、端まで取り切れず再発する可能性があります。再発を予防するため、範囲が広い場合は片側を2回に分けて手術することがあります。
2回に分けることで、ダウンタイムや血腫のリスクを抑えることも出来ます。手術後、すぐに腕を上げたり脇を大きく動かすと傷から出血し血が溜まったり(血腫)、感染を引き起こす可能性があります。
傷が治りにくい、傷跡が目立つ、ひきつれを強く感じる原因になります。
手術後3日間は特に安静に、その後1週間までは急な動きなどを控え、手術後2週間を過ぎるまでは出来るだけ安静にお過ごしください。

 

Q,手術後、すぐににおいは消えますか?
A,症状の強さにもよりますが、3~4日目で圧迫固定を外した際は手術前のにおいが残っているのでにおいはまだ消えていません。固定を外した後は、シャワーで洗浄を行ってください。
2週間〜1か月で傷が治っていきます。
傷が完全に乾いた時点で判断を行います。
また、手術前に着用していた衣類で黄ばんだ汗ジミがあるものは交換を推奨します。

 

Q,当日中に帰れますか?
A,日帰り手術ですので、当日帰宅して頂けます。脇を固定しますので、お帰りの際は車・自転車などの運転は避けてください。
公共交通機関をご利用ください。

 

Q,日帰り手術の注意点はありますか?
A,ご来院時は、ゆとりのある前開きのシャツ・パーカーなどの服装でお越しください。
手術後は脇を固定しますので、腕を上げて着替える必要のあるTシャツ等は避けてください。