注射による多汗症治療
薬剤を適応部位に注射することで、汗腺の働きを抑え、発汗量を減らすことが出来ます。
人の体には汗を分泌させることで体温調節を行っています。
汗はエクリン腺という汗腺から分泌されます。
汗腺が多いワキに汗止め注射をすることで、交感神経からエクリン腺への刺激の伝達をブロックし、発汗を抑えます。
原発性腋窩多汗症の場合、保険適用となります。
多汗症とは
多汗症は、汗の出る部位や原因によって、いくつかに分類されます。
- 原発性腋窩多汗症
脇の下に汗を多くかく症状です。
原発性局所多汗症とも呼ばれ、脇以外には頭皮、額、掌、足裏など、汗腺が密集している部位で起こることがあります。
- 続発性局所多汗症
内科的疾患、外傷、腫瘍などが原因で発症するものです。解熱剤や向精神薬など、薬の副作用で発症することもあります。
- 全身性多汗症
全身の発汗量が多くなる状態です
- 手掌多汗症
原発性局所多汗症とも呼ばれ、手のひらでの発汗量が多くなっている状態です。
多汗症の症状と原因
原発性腋窩多汗症は、明確な原因は分かっていませんが、遺伝子的要因、ストレスやホルモンバランスなどで自律神経が乱れることで汗の分泌が活発になるのではないか、と言われています。
原発性腋窩多汗症は、脇(腋窩)から汗をかく症状です。
ニオイや汗ジミの原因となり、制汗剤が手離せない、着たい服が着られない、1日に何回も着替える、人前に出る事が不安になるなど日常生活で困る症状を伴います。
日本人の10人に1人の方がかかっている珍しくない病気です。
近年、保険適応の新薬なども登場しライフスタイルや重症度、部位などによって適切な治療を選択し、症状の改善を期待出来るようになりました。
症状が気になる方は、セルフチェックをしてトラブルを解消しましょう。
多汗症セルフチェック法
- 原因が分からないまま、過剰な脇汗が半年以上続いている
さらに、次の症状のうち2項目以上が当てはまる方
- 左右両方で同じように多く汗をかく
- 眠っている時は脇の汗が止まっている
- 週に1回以上、脇に多くの汗をかくことがある
- 脇の汗によって日常生活に支障をきたしている
- 症状は25歳より以前に始まった
- 同じような症状の家族・親族がいる
多汗症の検査方法
- ヨード紙法
ヨードデンプンをしみこませた紙を使用して、多汗症の重症度を判定する検査です。
汗の範囲の度合いにより、重症度を判定します。
軽度:発汗の多い部分のみ点状で変色
中等度:経度よりも多くの部分が変色
重度:全体的に色が変わる
汗に触れた部分は黒く変色するため、汗の範囲や量が把握できる検査方法です。
- 重量計測法
予め重量を計ったろ紙を付着させたビニール手袋を装着し、一定時間後に汗を含んだろ紙の重量を計測するという手法です。一定時間でかく汗の量を計測し、汗の量から重症度を判定します。
血液検査
多汗症の原因には様々なものが考えられるため、汗の量や範囲だけでは病気の要因を判断できないケースも珍しくありません。場合によっては、別の病気でないかを確認するために、血液検査を行うことがあります。
※当院では検査を行っておりません。
施術の詳細
毛穴があるところにボトックス注射をし、汗を出す腺(エクリン腺)の働きを弱め汗の量を少なくします。
- アイスノンで両腋窩を冷やします
- 消毒し、片側ずつ注射をします
- ガーゼで圧迫し、終了
※保険適応の場合、麻酔クリームは使用できません。
施術時間 約5〜10分
ダウンタイム詳細
傷の赤み | 針跡の赤みが2~3日程度 |
腫れ | 内出血した場合、1~2週間程度 |
痛み・違和感 | 数時間 |
内出血 | 1~2週間程度 |
シャワー・入浴 | 当日から可能 |
運動 | 当日から可能 |
飲酒 | 当日から可能 |
料金(保険適応について)
ボトックス注射
自費診療 | ¥52,000(¥57,200 税込) 【両側】) |
原発性腋窩多汗症に対する保険診療 | 約¥25,000 【両側】 |
エクロックゲル | 約¥2,920 【1か月あたり 保険診療】 |
ラピフォートワイプ | 約¥2,200 【1か月あたり 保険診療】 |
アポハイドローション | 約¥2,360 【1週間あたり 保険診療】 |
よくある質問
Q,多汗症の治療にはどういったものがありますか?
A,手術だけでなく、次のような塗り薬、電気治療等の方法があります。
外用薬:塩化アルミニウム水・エクロックゲル・ラピフォートワイプ・アポハイドローション
内服薬:漢方(白虎加人参湯など)・プロバンサイン
イオン導入法:イオントフォレーシス
注射:A型ボツリヌキシン毒素製剤の注射(ボトックス注射)
手術:交感神経遮断術・腋臭症手術(反転剪除法)
これらの中から症状に合わせて治療を行っていきます。
Q,どのくらいで効果が出ますか?また、どのくらい効果が持ちますか?
A,4日〜7日頃から徐々に効果をご実感頂けると思います。効果の継続期間には個人差がありますが、3〜6か月程度持続します。特に発汗が気になる夏前に治療することで、快適に過ごすことが出来ます。
Q,相談した日に治療を受けることが出来ますか?
A,ご相談いただいてからお薬の取り寄せを行います。ご相談された日から最短で1週間後に治療のご予約を承ります。
保険診療外のボトックス治療の場合、当日のご案内が可能です。
Q,痛みはありますか?
A,当院では、極細針を使用し痛みが少なくなるよう工夫をさせて頂いております。脇毛の範囲が広い場合、注射を打つ回数が多くなってしまうため、痛みを感じることがあるかもしれません。アイシングをしてから行いますが、痛みが心配な方は予めスタッフへお申し付けください。
Q,副作用はありますか?
A,ボトックスは、顔面痙攣の治療など、何十年も前から医療現場で使われている治療薬です。
保険診療で使用するグラクソスミスライン社の「ボトックス®」は、繰り返し治療しても問題がないとされている製剤です。副作用は、施術する部位によって異なりますが、脇の場合は軽度の内出血、腕の違和感など、軽度なものが中心です。一部、ボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)に適していない病気をお持ちの方や、長めに持続する副作用もありますが、施術前のカウンセリングで説明をいたします。ご不明な点等ございましたら、医師へお申し付けください。
Q,代償性発汗がおきますか?
A,交感神経遮断術(多汗症手術)で代償性発汗が起きることがあります。注射や外用は末梢での作用のため、代償性発汗が起きることはとても考えにくいと言えます。